日本古来のもの
昨今、日本においては、グローバル化が叫ばれており、日本の外に目を向ける傾向が強くなっています。しかし、外国の人々は日本独自のもの、日本古来のものに強い興味をもっているのです。 「文明の衝突」を書いた米国の政治学者サミュエル・P・ハンティントンは世界を8つの文明圏に分け、日本はその中の1つの文化圏にある1つの国と設定しています。
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「オズワルド・シュペングラーを含む少数の文明史家が主張するところによれば、日本が独自の文明をもつようになったのは紀元五世紀ごろだったという。私がその立場をとるのは、日本の文明が基本的な側面で中国の文明と異なるからである。それに加えて、日本が明らかに前世紀に近代化をとげた一方で、日本の文明と文化は西欧のそれと異なったままである。日本は近代化されたが、西欧にはならなかったのだ」
「世界のすべての主要な文明には、二ヵ国ないしそれ以上の国々が含まれている。日本がユニークなのは、日本国と日本文明が合致しているからである。そのことによって、日本は孤立しており、世界のいかなる他国とも文化的に密接なつながりを持たない」
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(出典:「文明の衝突」サミュエル・ハンチントン著、鈴木主税訳/集英社:1998年)
外国になくて日本にしかないものが数多くあります。本サイトでは、日本古来で独自なものとして、城郭石垣、堂塔、庭園、治水などを取り上げてご紹介したいと思います。日本古来のものや伝統を思い出し、日本の独自性を再認識するのが本サイト開設の目的です。
武田流軍学の理論や心得が書かれている「甲陽軍鑑」に『或人の云ふ、信玄公御歌に、人は城 人は石垣 人は堀 情は味方 讎は敵なり』と書かれています。石を組み合わせて石垣をつくり、人を組み合わせて組織をつくります。よい石垣とよい組織は、全体の構造と構成がよく、個の特性や強みを活かして絶妙に組み合わせた点が実によく似ているのも趣深いところです。
平成24年8月22日
eizan城郭石垣研究会 代表 葉村 彰吾